9日は「岡山大学歯学部同窓会,卒業生リフレッシュセミナー:小児歯科」に参加してきました.
キシリトールを用いたう蝕予防などイイお話が聞けました.後日まとめて報告します.
セミナー終了後の懇親会で小児歯科の岡崎先生に次のようなお話を聞きました.
「治療前にアンケートを取ってるが,そこにおやつの与え方という項目がある.お母さんに『この子は歯の治療をガマンできますでしょうか?』と尋ねたとき『大丈夫だと思います』と言われる時は,おやつは時間を決めて与えてるの項目に○がついてることが多い.反対に『イヤ,暴れるかもしれません』と言われるときは,おやつは欲しがった時に随時与えてるに○がついてることがほとんどだ」
このことを先生は次のように分析されてました.
「だらだらおやつを与えられてる子はガマンするということができない.欲しい時に欲しいものがもらえてるから.時間を決めて与えるということがガマンするということも身につけている.毎年成人式で暴れる新成人の報道があるが彼らはガマンするということが身につかず,そのまま大人になった子たちなんだろう」
このブログでも昨年の10月20日にむし歯のできる原因について述べたことがあります.だらだらと欲しがった時におやつを与えるということは歯の表面にたべかすのくっついてる時間が長くなりがちです.むし歯ができやすいということです.
以前に「妊婦と歯科用レントゲン写真」について書きましたが,27日の朝日新聞にX線撮影時の被爆量についての記事がありました.
アメリカ・ハーバード大の研究によりますと,がんの原因のうち煙草が約3割,偏った食事や肥満が約3割.医療被曝による発がんの危険性はこれらに比べるとぐんと小さかったそうです.
医療被曝の大きさの目安(単位=ミリシーベルト)
0.03・・・歯科用レントゲン
0.05・・・胸のX線集団検診
0.20・・・東京ーニューヨーク飛行機往復(高度による宇宙線増加)
0.60・・・胃のX線集団検診
0.81・・・神奈川県の自然放射線被曝量(国内最少)
1.19・・・岐阜県の自然放射線被曝量(国内最多)
2.40・・・世界平均自然放射線
_____宇宙から(0.39),
_____ 大地から(0.48),
_____ 食物から(0.29),
_____ 空気中のラドンから(1.26)
6.90・・・胸部X線CT撮影
250.0・・白血球減少などの症状が現れる
被爆影響のリスクを怖がりすぎて放射線診断を拒むと,重い病気を見過ごすなど,不利益もおこりうる.しかし,医療機関も被爆の低減に取り組む必要もあります.
妊娠中・授乳中なのに歯が痛んだりしてませんか?
それなのに,クスリは飲まずにガマンしつづけてませんか?
そんなあなたの参考になれば・・・・と思います.
歯科治療で使われる局所麻酔薬や処方されるクスリに関し,その一部が母乳へ移行することで乳児に悪影響がおよぶのではないかと神経質になっておられる母親はたくさんおられます.
まず麻酔薬ですが「妊婦と歯科用麻酔」のところで書きましたように使用量も少なく,麻酔した場所に多くとどまるようになってますので血管内や母乳へ入る量はごくわずかで何の心配もいりません.
処方されるクスリに関してですが乳児が3ヶ月くらいまでとそれ以降では状況が変わります.
3ヶ月以内の乳児の場合.代謝機能がまだ未成熟なのと授乳が2〜3時間おきで頻回であるため,妊娠中と同様に安全性の高いクスリを選択します.
抗生物質に関しては妊娠中でも使用可能でしかも母乳への移行がほとんどないと報告されている「フロモックス」が第一選択になります.あと,「メイアクト」も安全だと報告されてます.
痛み止めに関しても妊娠中でも使用可能といわれ,こどもが熱を出した時に小児科でも処方されている「カロナール」が第一選択になるでしょう.
このクスリは飲んでから2時間後が母乳への移行のピークですが,ピーク時に赤ちゃんが母乳を100ml飲んだとしても,お母さんへの投与量の0.1%以下.通常の乳児への投与量の1%以下でしかありません.母乳への移行量はかなり少ないということです.
お薬は飲んでから5時間ほどたてば母乳への移行はほとんどなくなります.
それでも気になる場合はまず授乳をすませてからクスリを飲み,次の授乳時にはあらかじめ搾乳しておいた乳を飲ませるか人工乳を与えてください.
乳児が3ヶ月を過ぎますと代謝機能がしっかりしてくるので歯科でだす痛み止めや抗生物質に関してはは母乳中のクスリの影響はまずないと思われます.
なお,今回の内容は私の岡山大学歯学部ならびに軟式テニス部の後輩である滝川雅之先生の著書を参考にさせていただきました.先生は岡山市で年間分娩数約1000例という産婦人科三宅医院併設の「ハロー歯科クリニック」の院長をしておられ,「妊婦の歯科治療とカウンセリング」という本も書かれた,おそらく国内では一番多くの妊婦さんを診療されてる先生です.
妊娠中に親知らずが原因で歯ぐきや頬が腫れてきたらどうしますか?場合によっては38度近い発熱を伴ってることもあります.重症になると妊婦の体力を消耗させ,胎児にまで悪影響を及ぼす危険性が生じてきます.
この場合はクスリを出すことになります.しかし,原則として「そのクスリを使用することの有益性が危険性を上回ると判断された時にのみ用いる」ということがあります.
有益性は投薬によって母体の状態が改善すること.危険性は胎児への影響が主に考えられます.
妊娠3週目までの胎児はクスリの影響はあまり受けません.4週から15週が胎児の外形や臓器が作られる時期で,この時期が最も注意が必要になります,16週を過ぎると奇形の心配はほぼなくなります.
歯科でよく使われるのは「(バイ菌を減らす)抗生物質」と「痛み止め」です.
抗生物質をどうしても用いる必要がある場合はペニシリン系かセフェム系のクスリを選択すれば比較的安全と言われてます.腫れたり発熱したりする原因は「細菌」です.細菌は植物なので細胞壁がありますが,胎児は動物ですので細胞壁はありません.上記の系統のクスリは細菌の細胞壁を壊すことによって細胞をやっつける作用のクスリですので,細胞壁のない胎児にはあまり影響がないのです.「フロモックス」や「ケフラール」などがこれにあてはまります.
痛み止めに関しては「妊娠の全期間を通じてできるだけ飲まない方がよい」と言われてます.特に妊娠末期はいけないそうです.歯ぐきなどの痛んでる場所は赤く腫れたりしてますでしょ?そういう所は血管も拡がってます.痛み止めのクスリは,この「拡がっている血管を縮めて腫れを抑える」働きがあります.しかし,同じ働きで縮まって欲しくない胎児の動脈管と呼ばれる心臓近くの血管も細くなるため発育抑制(低体重)や新生児肺高血圧症という病気の原因になるからです.どうしても痛み止めを飲みたい時はこれらの危険性が少ないと言われる「カロナール」や「ソランタール」というクスリを使うことになりますが,効きはかなり弱いです.
痛みの原因になるむし歯や親知らずがあるのなら,できるだけ妊娠前に治しておいてくださいね.
妊婦さんの歯科治療時には注意すべきことはたくさんあるのですが,今回は歯科用レントゲン写真の影響について述べます.
結論から言いますと「歯科でのレントゲンは胎児および妊婦にはほとんど影響ありません」
歯科でのレントゲン撮影での被爆量は1回につき0.02〜0.04ミリシーベルトと言われてます.
人間が地球上で生活していて被爆する宇宙からの放射線,これを自然放射線というのですが,これの全世界平均が2.4ミリシーベルト/人/年です.この量を被爆していて日常生活になんか不自由なことがおこっているでしょうか?何もおきてませんよね.
50ミリシーベルトが原子力関係従事者の1年間被爆限度量
250ミリシーベルトで白血球減少
1000ミリシーベルトで吐き気などの急性放射線障害発生
2000ミリシーベルトで出血・脱毛・5%死亡
なんだそうです.
歯科でのレントゲン1枚は自然放射線の120分の1
白血球減少の症状が出る量の12500分の1でしかありません.
これだけの被爆量ですから妊婦や胎児に影響が出ることはまずありません.しかも歯科の撮影の時は顔面にたいして横向きが多く子宮とは別の方向に照射してます.
胎児の催奇形性に影響すると言われてるのは妊娠15週まで,それ以降は器官形成期は終わってるので胎児の発育がレントゲンの影響をうけることはほとんどありません.
それでも心配な方は鉛エプロンのプロテクターを使用して撮影してもらってください.
でもプロテクターなしでもほとんど影響ありません.